オンデマンドによる商品展開の変化

日本ではバブル崩壊の影響により、消費者が低価格の商品を求める需要に合わせて企業が安売りを競い合う「価格破壊」という現象が起こりました。ある企業では積極的な店舗展開とシンプルなデザインのファッションを前面に押し出し、世代や性別を超えた人々に受け入れられるような機能性の高い服、低価格を実現し、低価格競争の波の中でそのブランド展開を成功させました。更には全品100円均一という低価格で商品を提供する店も現れ、その安さに飛びつく人々の間で一時期大ブームにもなりました。しかし、これは小売業が商品を購入する以外の付加価値を付けた一つの例です。ある企業では、消費者の興味を繋ぎとめるため、常に新鮮で面白い商品を提供し続けるために毎月自社ブランドの商品を大量に店頭に並べるという戦略を展開し、成功を収めたといいます。今までは企業側が販売したいものを作り、かかったコストから希望する価格によって商品の値段が決められていましたが、バブル崩壊後の「価格破壊」によって、消費者側の求める価格から逆算して商品にかけるコストを決定し、企業側がものを作るというような時代に変化していきました。これをオンデマンド(需要者起点)といい、この出来事とものづくりの変化が今後の日本の小売業にとっても非常に大きな指針となっていったのです。